Shopify

Shopifyストアを国内と海外で別々にしたい5つの理由

  1. 国内と海外どちらも1つのストアでやったほうが良いよね
  2. そのほうが開発費用も少なくて済むし
  3. 管理も1アカウントでいいから簡単でしょ

、、、と思ってらっしゃるあなた。ちょーーっと思いとどまっていただきたい!

Shopifyで国内と海外を一つのストアで取り扱う際には注意点がたくさんあります。BtoB(卸売)の需要増加や、越境EC特有の課題など、EC運営者に降り掛かってくる課題はさまざま。この記事では、そんな「降り掛かって来そうな課題や注意点」を5つを解説します。

インボイス対応。国内・海外でゴチャゴチャに・・・

国内のBtoB市場では、請求書や領収書にインボイス番号の付与が不可欠となりました。事業者としては余計な消費税は払いたくないですからね。

国内顧客に対しては適切な税務処理が求められるため、インボイスの自動生成や管理機能を備えた機能が重要となります。

その一方で海外へは対応が不要となります。その代わり別の「インボイス書類」を同梱して荷物を発送しないと税関の審査が遅くなったりします。

国内向けインボイス対応・海外向けインボイス対応、それらをまとめて1つのストアで場合分けして対応するとなると、EC担当者の負荷が増えてミスも増えたりしそうですよね。

「ウチは、どういうパターンになるんだろうか?」を一度イメージしてみることをおすすめします。

「配送日時指定」は越境ECではNG

海外向けの配送では日時指定サービスが提供できない、というか提供するとトラブルの元となります。端的に理由を言うと指定された日時に商品を届けることを保証できないからです。

海外のお客さんでは、その辺をよく分かっている人もいますが、分かっていない人もいる。その「分かっていない人」がクレームを入れてきます。場合によってはストアに搭載しているレビュー機能に悪い評価を入れてしまうこともある。ネガティブな感情は強いですから、そういった行動を起こさせる可能性は十分にあります。

「配送」も「サービス品質・顧客体験」の一環です。海外に向けて「配送日時指定」機能を搭載することは、顧客体験をあえて下げる様な行動なので注意してください。

仮に「どうしても国内・越境ECを1ストアでやりたい!」という場合には、

  1. 国内では配送日時入力欄を表示、海外へは配送日時入力欄を非表示
  2. 国内の配送日時指定をやめる
  3. 国内と海外と別々のストアにする

の3択を迫られます。「1」を選択しやすいですが「機能検証・機能実装」において、Shopifyパートナーと相談したり、Shopifyアプリベンダーへ確認したりと、結構労力が掛かることを承知しておいてください。「めっちゃダルい、、、こんなはずじゃなかった。他にも重要タスク山積みなのに。。。」となりにくいので頭の片隅に入れておくのがおすすめです。

多言語対応で「詰んだ・・・」となることもある

Shopifyアプリは英語が標準言語です。つまりアプリの何かしらの機能で、ストアに表示されるモノがあった場合は、基本的に英語が表示されます。

どういうことかと言うと、例えばクーポン機能のアプリで

  1. カート画面の決済ボタン近くに
  2. クーポン適用入力欄を表示して
  3. 今いくら安くなったのか?が分かるように割引金額を表示する

というアプリがあります。日本国内向けのストアは標準言語を日本語に設定されているはず。しかし先程述べたアプリは英語で表示されてしまうわけですね。なぜならアプリの標準言語は英語だから。

「まぁ、そうだったとしても翻訳すればいいんでしょ?」と思うかもしれません。ですが、そう簡単には行きません。

「日本語表示モード」の時に英語が表示されているのです。「英語表示モード」の時はそのまま英語です。

「あれ?じゃあ日本語表示モードの時にどうやって日本語を表示するの?」となりますよね?

そう、、、そこが問題なわけです。アプリの中には日本語対応してくれているモノもあります。が、しかし、、、そうでないモノが多い。アプリが日本語対応してくれていない場合「詰んだ・・・」となってしまいます。ここが落とし穴なんですよね。

しかも!!、、、余談になりますが、多言語対応アプリに中には他のアプリで表示された文章を翻訳表示できないというアプリもあります。このポイントは要注意です。この点について別の記事で詳しく解説しますが、個人的には「Langify(ランギファイ)」がそういった問題に強い多言語対応アプリだと評価しています。

国内向けストアに搭載するアプリを全て日本製アプリで揃えられれば、こういった問題も起こりにくくなるのですが、残念ながら痒いところまで手が届くほどに日本製アプリが揃ってはいないのが現状です。いたしかたなし・・・。

ポリシーページも国内・海外で書く内容が違う

特商法(特定商法取引法)

これは国内だけが対象のページになります。海外のみの販売する場合に不要なのが特商法ページです。

しかし、国内・海外と1つのストアにする場合は、国内にも販売するわけですから特商法ページは必要となります。

選択肢は2つ

  1. 国内では表示させて、海外では非表示にする
  2. 大雑把な運営でOKなので、海外でも表示させたままで気にしない

のどちらかになります。

まぁ一般消費者のユーザーなら気にしないでしょう。BtoB向けに海外展開していた場合に、もしかすると気にする事業者が出てくるかもしれないという程度です。このページはサイト運営者として「どこまでキッチリやりたいか?」という観点がポイントになりますね。

プライバシーポリシー

最近国内でも厳しくなってきたかと思いますが、海外のほうがもっと厳しいです。欧州とか罰金の金額が企業を再起不能にさせに来ていると言っても全然過言ではない大金で設定されていますから。下限レベルでも1000万ユーロ。1ユーロ約160円。つまり16億円の罰金。

国内は国内でちゃんと個人情報保護法の記載ページを設けたほうが良いです。それよりも更にGDPRに則った英語ページは絶対に儲けなきゃ駄目ですし、GDPR対策のアプリも入れないとNG。Shopifyではプライバシーポリシーページのテンプレートがあるので、それを使って必ずプライバシーページを設置しましょう。

ここに関しては十分な注意が必要です。

シッピングポリシー

「配送日時指定」の章でもお伝えしましたが、海外では配送日時どおりに商品を届けることを保証できません。なので書くことも国内・海外で違ってきます。

海外向けには「いつまでに届ける」ではなく「いつまでに発送完了する」という内容を記載しておくのが良いでしょう。

海外向けの発送で何も書いてないと「いつ発送するのか分からないな。このストアは偽サイトかもしれない」とか思われる可能性があります。マジです。なので安心できるサイトであることを伝えるためにも発送所要日数などを記載すると良いです。

キャンセルポリシー

こちらも国内と海外で書くことが変わってきます。

国内では「返品不可」を記載しているところがありますが、海外では「返品・キャンセル」は当然の権利という認識の国もあるので、このあたりは十分に検討したほうが良いです。

返品・キャンセル不可だと購入率を下げる要因にもなりますし、そもそもキャンセルポリシーを見ないで「返品できる」と思い込んで購入してしまい、後からトラブル、、、なんてケースもあります。

利用規約

国内・海外おなじような内容でもOKです。「画像勝手に使うなよー」とかそういう類のものは基本的には世界共通で良いです。そう書いていても問答無用で勝手に使ってしまうユーザーはいるんですけどね。免責事項の記載に関しては専門家の方に確認をしたほうが良いです。

利用規約に関しては、ガッチリとした内容を固めて、国内・海外分けずに書いてもよいかなというのが個人的な所感になります。

国内向けに組んだマーケティング施策どうするの?問題

国内ストアの運用が長いほどに、国内向けに組んだMA(マーケティングオートメーション)どうする?問題が勃発します。

  • 商品購入時にShopifyFlowで組んだ自動メール。
  • その自動メールでオススメしている商品って海外発送していいんだっけ?
  • 国によっては発送不可の商品じゃん。どうしよう。。。
  • どうやってShopifyFlowの設定変える?
  • え、他にもそういう商品あんの?
  • うわ、、、どこから着手したらいいのか、、、。

自動メール設定でこういうことあります。あとはLINEの「友だち追加」の導線とかですね。海外ではコミュニケーションツールはLINEは主流ではありません。「Whats App」が主流です。その他国ごとによって全然違ってきます。なのにLINEの導線が堂々と海外にも訴求される。それでいいんだっけ?となります。

はぁ(ため息)、、、国内・海外のストアは本当に分けたいですね〜〜(ボヤき)。

まとめ

ここまでShopifyストアは国内・海外分けたいよねと思う理由5つを解説しました!

要するにやることがたーーーーくさんあるということです。

「ストアを別々にすると業務量増えるよね、1ストアにまとめた方が効率いいよね」と考えるのは理解できます。が、しかし、本当に効率が良くなるかは販売者さんの事情によりけり。ですので慎重な検討をオススメします!

ABOUT ME
さすー
2020年からShopifyに注力し、越境ECサイト構築をメインとして従事。海外のWebマーケティング企業に対してECサイト制作の支援を行い、制作部門の立ち上げにも関与。また書籍「はじめての越境EC・海外Webマーケティング」の執筆に協力。最近ではChatGPTなどの生成AIを活用したITソリューションにも取り組み、企業への導入実績もある。