既存ECサイトからShopifyECサイトに移行する時、新規にECサイト事業を始める時、それぞれ商品データをどのように持たせるのかを十分に考える必要があります。
このブログ記事では、検討して欲しい6つの事項について解説していきます。
基本的なデータ構造を把握しよう
まずはShopifyのデフォルトの商品データ構造を把握しましょう。
- 商品タイトル
- 商品説明文
- 画像
- 価格
- 在庫
- SKU
- 重量
- バリエーション(商品サイズや色などのオプション)
- 商品カテゴリー
- 商品タイプ
- 販売元
- タグ
ざっと並べるとこの12個の要素です。
SKUの注意点
SKUがない場合は予め商品ごとにユニークな値を持つようにSKU構造を決めておくことが重要です。
なぜかというと、例えばネクストエンジンのような在庫一元管理システムなどと連携する時に、SKUがユニークな値を持っていないとエラーを発生するからです。
Shopifyではskuが重複することに関して許容するような仕様のシステムになってます。なのでショピファイでは問題なくてもいざエクストエンジンなどの在庫一元管理システムと連携した時にトラブルが発生するということがありえます。
バリエーションの注意点
バリエーションはグループとしては最大で3つまでしか持てません。
アパレル商品だとだいたいが「サイズ」と「色」の2グループだと思います。
ですが例えば音響ケーブルの場合「ケーブル長さ」「片方の端子の種類」「もう片方の端子の種類」「ケーブルの素材」という感じで4つのバリエーションのグループが欲しい場合などもありえます。この場合はデフォルトのバリエーション機能だと数が足りません。従ってアプリを使って拡張機能を実装する必要が出てきます。
商品カテゴリーの注意点
Shopifyではコレクションという商品をカテゴライズするグループがあります。基本的にECサイトのカテゴリーといえばこのコレクションだと思ってください。
ただし商品管理画面での商品カテゴリーというのは、一般的な分類としての商品カテゴリーになります。
この一般的な商品カテゴリーとは何なのかというと、Facebook広告やGoogle広告で分類されているものとほぼ同じ定義のものだと思ってください。カテゴリーを設定しておくことで、いざ広告を出稿する時に、この設定が活きてきます。
広告を出稿する予定がない場合はひとまずここの設定は気にしなくてOKです。
Shopify独特のURL構造を理解しておこう
SEOスペシャリストはURL構造の最適化も検討します。Shopifyの独特なURL構造を知らないと、通常のURL構造だと思い込んで、カスタマイズを考えた後で「え?そんなURL構造なの?」と考えたカスタマイズ構想が無駄になることがあります。
ちょっと分かりにくいと思うので具体的な例を挙げます。
よくあるECサイトのカテゴリー構造
http://samplestore.com/brand-a/t-shirt
http://samplestore.com/brand-b/pants
このように「カテゴリー/商品」という並びのURL構造が一般的です。ですがShopifyは違います。
ShopifyのURL構造
http://samplestore.com/collections/t-shirt
http://samplestore.com/collections/pants
このように「collections/商品」というという並びのURL構造がShopifyの構造となります。そのためSEO効果を狙ったパンくずリストをちゃんと作ろうと思うと「全てのカテゴリーについて親子関係を含めて定義をして、コードをカスタマイズする」という若干手の込んだことをする必要があります。
こういったURL構造について先に把握しておくことで「SEO対策をするのかしないのかによっては、コードカスタマイズする必要があるよね」といったところまでECサイトの要件を定義することができるので、より正確な見積もりができます。
こういった情報を理解しておくことでマーチャント側としては、どういうカスタマイズが発生するのかを「項目ベース」である程度予見できるようなります。この理解と予見が発注力の向上に繋がり「予想外の金額」とか「思ったようなサイトが納品されない」といった問題を防げます。
メタフィールドを理解しておこう
メタフィールドとは、基本の商品データ構造に加えてさらに別のデータを登録したい場合に活用するデータ項目だと思ってください。
例えばShopifyサイトで二次流通系(中古)のサイトを運営する事業者いまして、そういった商品の場合は「商品の状態」を記載する必要があります。
この「商品の状態」を商品説明欄に書くと、他の文章と混じって見づらい場合があります。
なので「商品詳細とは別の見えやすい所に表示したい」という要望もでやすい。
結果として別のデータ項目としてメタフィールドを使ってデータを登録して、そのメタフィールドを利用して、好きな場所に表示しようという方針になるでしょう。
メタオブジェクトを理解しておこう
メタオブジェクトは、たくさんメタフィールドを登録した際にそれをグルーピングする機能だと思うとわかりやすいと思います。
メタフィールドの用途はたくさんあるので、その用途ごとにグルーピングすると、データの管理がしやすくなります。
例えば、商品の情報を掲載する時に、単純に
- 商品タイトル
- 商品の説明文章
- 商品の画像
の3要素だけでなく、ページの下部により細かい詳細情報や画像を複数個掲載するということをよくやります。
そして、その他によくあるのが、絞り込み検索用に新たにメタフィールドを追加して、絞り込み用の項目をそのメタフィールドに追加するなんてこともあります。
上記「詳細情報や画像のメタフィールド」と「絞り込み検索用のメタフィールド」が一斉に商品管理画面に並んでいると、たくさんの行として表示されて管理がなります。そこでグルーピングをしようという話です。そのグルーピングがまたオブジェクトになるという風に考えてもらえればわかりやすいと思います。
要するにメタフィールドをグループして塊(オブジェクト)にしたもの、ということですね。
商品ページをどのように情報を掲載したいのかゴールを決めておこう
先ほどチラッとお伝えしましたが、商品詳細ページでは
- 商品タイトル
- 商品の説明文章
- 商品の画像
の3要素だけでなく、ページ下部により細かい詳細情報や画像を複数個掲載していくというカスタマイズも個人的経験ですがよくあります。
この場合にその詳細情報や画像を何個ずつ設定することにする、といった決め事をして各商品同数の画像同数の詳細情報の文章を用意して登録するといった運用を行っていくように方針を決めたりします。
この方針が決まって初めてメタフィールドを設定したり、わかりやすい構造でメタオブジェクトを設定したり、といった構築をスムーズに実行することができます。
この方針が決まっていないと、構築をしている最中にあーでもないこーでもないと、変更の嵐となります。このような試しながら進めていくという状況に陥った場合は、構築側からしたら非常に迷惑なプロジェクトに変化します。
この状況で「お金を払ったんだからしょうがないでしょ」と言った態度をとってしまうと、構築側の都合を考えない悪質なクライアント認定されてしまう可能性があります。悪質クライアント認定されてしまうと、納品のクオリティが極度に低下してしまいクレームを言いたくなる状況になる可能性が高まります。要するに泥沼化してしまう可能性があるので注意しましょう。
「注意する」というのはどういうことかというと、制作会社に任せっきりでおんぶに抱っこの状態ではなく、一緒になって作り上げていくというマインドのもと、二人三脚で走っていく意識でプロジェクトに参加するように意識するということが「注意する」ということになるかと思います。
カテゴリ構造を含めた商品情報設計を綿密に行おう
まず分かりやすい例として、商品にバリエーションがたくさんあった場合に、
- 1商品に、まとめてバリエーションを登録するのか
- バリエーションごとに商品登録するか
という違いが出てきます。それぞれのメリットとデメリットを紹介します。
1商品に、まとめてバリエーションを登録する
メリット
様々な商品を一覧ページや検索結果ページに表示できる
商品詳細でバリエーションを表示選択できる
デメリット
バリエーションごとのコレクション作成が難しい
バリエーションごとに商品登録する
メリット
カラー検索結果でサムネイルにちゃんと該当するからの商品が表示されるので探しやすい。
バリエーション別に在庫管理ができる。
コレクションパターンを作りやすい。
デメリット
商品点数が増えて管理が煩雑になりやすい。
検索結果で同じ商品で色の違うサムネイルが並び続ける。
登録の仕方の使い分けについての考え方
1商品にまとめてバリエーションを登録するのが通常です。例えばTシャツに対しては「サイズ」「カラー」のバリエーションを登録するわけですね。
ただ人気のあるロゴや柄がある場合、ユーザーがその人気のロゴや柄を求めて絞り込みをしたいという需要が発生します。
ユーザーが期待する絞り込み結果は、選んだ柄のTシャツ・ワイシャツ・ジャケット・その他マグカップなどが一覧で表示されたページが表示されることです。
しかし1商品にまとめてバリエーションを登録した場合には検索結果には表示されてもサムネイルでユーザーが求める柄が表示されているとは限りません。ここが非常にネックなところ。バリエーションとしては柄があるんだけれども一覧表示としては求めてるからとは違うサムネイルが出てくる。
ユーザーはそれに対して「求めている柄があるかどうかよくわからない。。。」という不満を持って離脱する可能性があるわけです。
まとめ
商品情報のデータに関しては基本となるデータ情報だけを入力する場合であればそんなに難しくありません。
ただしよりユーザーの利便性を考えたり、既存サイトで既にデータ構造を持っていてそれをShopifyに移植するなどといった場合には、メタフィールドをどう作るのか、メタオブジェクトをどのように設定するのか、もしくはタグで管理をするようにするのか、などといったことを検討しなければいけません。そういった検討がないと構築フェーズに入った時に「あれ?これどうするんだっけ?」とプロジェクトが滞ることになります。
もちろん制作会社側もそんなことは百も承知なはずので確認をしてくれるはずです。
しかしマーチャント側がその方針を十分に検討しないで制作会社任せにしてしまうと、満足のいかないECサイトが出来上がってしまう可能性があるので注意しましょう。Wiiこんなところですかね