「ストアにどの言語を設定すればいいですか?」という問い合わせをもらいます。だいたい日本語・英語・中国語を対応するとざっくり大まかにカバーできるんですよね。
しかし「もっとデータ的に根拠のある効率的に大多数をカバーする言語数を教えて欲しい」という欲張り達のために人肌脱ぎました!、、、ということで「訪日観光客ターゲット」と「世界に向けてストア公開したときのターゲット」の2軸で解説したいと思います!
訪日観光客ターゲットの場合
まずは結論から!
対応できたら良い言語は以下!(でもちゃんと対応言語はなるべく絞ってくださいね)
対応したほうが良い言語ランキング
- 英語
- 中国語
- 韓国語
- 広東語
- タイ語
- ベトナム語
- ドイツ語
- フランス語
- イタリア語
- スペイン語
- ロシア語:
- マレー語:
- インドネシア語
- ヒンディー語:
- タミル語
- フィリピン語
はーい、、、めっちゃ多いですよね!驚かないでください。これ全部「対応しなきゃいけない」といういことではありません。
ランキングの理由
なんでこれらの言語対応が推奨なのかというと、このサイトで2023年の訪日外国人観光客で国別にランキングしたのがこちらなんです。どぉーん!
- 韓国: 570,400人
- 台湾: 385,300人
- 中国: 325,600人
- アメリカ: 156,600人
- 香港: 151,100人
- オーストラリア: 64,000人
- タイ: 50,500人
- ベトナム: 43,000人
- フィリピン: 42,800人
- シンガポール: 38,100人
- カナダ: 39,800人
- インドネシア: 32,300人
- イギリス: 29,700人
- マレーシア: 27,500人
- ドイツ: 26,300人
- フランス: 22,000人
- イタリア: 14,600人
- インド: 14,100人
- スペイン: 13,200人
- ロシア: 4,300人
これ全部の言語を対応しようと思ったら20言語対応しなきゃいけなくなります。想像できるかと思いますが、もはやムリです。
全部対応すれば良いというわけじゃない
例えばタガログ語(フィリピン)の対応をストアに施したら、フィリピンの人たちは「あ、タガログ語いけんじゃん!」と思って、お問い合わせもタガログ語でしてくる。タガログ語いける担当者がいればいいですが、そんなに多くないですよね?だからChatGPT使って翻訳してやり取りしなきゃいけなくなる。これが英語だけ対応していたら、まぁみんな大体英語で問い合わせしてくれるわけです。(もちろんそうじゃない人も結構いる)
結局は「バランス」なんですけど、その「”バランス”をどう取るか?」を判断するためには、詳しいデータが必要なわけですね。
各国の第1言語と第2言語について
世界では母国語以外にわりと当たり前に使われている言語がありますよね。「フィリピンでは英語が結構つかわれている」みたいな。それをざっくり調べたのがこちら。
- 韓国: 第1言語 – 韓国語
- 台湾: 第1言語 – 中国語(普通話、台湾語)
- 中国: 第1言語 – 中国語(普通話)
- アメリカ: 第1言語 – 英語
- 香港: 第1言語 – 広東語、第2言語 – 英語
- オーストラリア: 第1言語 – 英語
- タイ: 第1言語- タイ語、第2言語 – 英語(広く話される)
- ベトナム: 第1言語 – ベトナム語
- フィリピン: 第1言語 – フィリピン語、英語
- シンガポール: 第1言語 – 英語、第2言語 – マレー語、中国語、タミル語
- カナダ: 第1言語 – 英語、第2言語 – フランス語
- インドネシア: 第1言語 – インドネシア語
- イギリス: 第1言語 – 英語
- マレーシア: 第1言語 – マレー語、第2言語 – 英語、中国語
- ドイツ: 第1言語 – ドイツ語
- フランス: 第1言語 – フランス語
- イタリア: 第1言語 – イタリア語
- インド: 第1言語 – ヒンディー語、第2言語 – 英語
- スペイン: 第1言語 – スペイン語
- ロシア: 第1言語 – ロシア語
上のリストを見ると例えば「英語と中国語をカバーしてれば結構大多数カバーできるじゃん」とか考えられるわけですね。これは完全に筆者の肌感ですが、ヨーロッパの人も観光に来る人は英語できる人が多いですね。なので筆者はよく「英語・中国語・日本語対応がベーシック」と思っています。
実店舗に来店する外国人の分布はやはり実店舗で調べるのが一番
ただ実店舗で働いている人の感覚としては「英語・中国語・日本語」を使わない比較的少数派の人を、目の前で対応するわけですから「いや!その3カ国語以外にも必要!」と感じるわけです。なので「なるべく多くの言語を対応したい!」というお問い合わせをいただきます。
ものすごく「それができたら、そりゃいいよね」というお話すると「実店舗に来ている外国人観光客の出身国とよく話す言語を集計する」ことができたら最高なわけです。そのデータを元に、その店舗の「訪日環境客の国別分布データ」を作って「もっとも効率の良い対応すべき言語数に絞る」ということができるからです。
なんで対応言語を絞らないといけない?
理由は3つあります。
その言語での問い合わせ数が増える
1つ目は、先程述べた「あ、私の母国語もいけんじゃん!」となって、問い合わせもその言語でしてくるケースが増えるからです。ChatGPTを駆使しまくって対応することを覚悟してくださいね。
機械翻訳の手作業設定が増える
2つ目は、単純に対応工数が増えるからです。機械翻訳といえど「完全自動」じゃありません。例えば商品を追加したときは、各言語の機械翻訳が実施されるようにポチポチと設定を進めなければいけません。
「え?一回設定すれば、商品追加しようが、新しいページを追加しようが、勝手に翻訳してくれるんじゃないの!?」と思ってしまいましたか?そーじゃないんですよ。
新商品登録したらポチポチ。新ページ追加したらポチポチ。もしも20言語対応したときのことを想像してください。1商品追加したら20回ポチポチ。10商品したら200回ポチポチ・・・。まぁもうすこし「ポチポチ」の方は効率的になっていますが、それでも「手作業の量が増える」ということに代わりありません。
言語選択時のプルダウン表が多すぎて選びづらい
3つ目は、「言語選択の候補が多くなりすぎて不便になる」ですね。アプリでは「あ、この人は英語圏の人だから英語で表示しよう」と勝手に判断します。便利ですね〜。でも、この便利さが返って邪魔をすることがあります。返って邪魔をする?どういうこと?その疑問に答えるためには、簡単にアプリの「勝手に判断する」仕組みをお伝えします。「勝手に判断する」方法としては2つ、どこの国からアクセスしているかで判断、使っているブラウザがどの言語設定になっているかで判断。
必ずしも、その人にあった言語が表示されているとは限らない
「どこの国からアクセスしているか?」で表示言語を判断しているアプリの場合、その外国人のお客さんは、いま日本に来ているわけです。となると表示されるのは日本語になる。「Oh!日本語表示で読めない。。。」となるわけです。
「ブラウザがどの言語設定になっているか?」表示言語を判断しているアプリの場合、普段は仕事で使っているから母国語ではなくで別の言語に設定していることがあります。「Oh!仕事用の言語だよ。嫌じゃないけど母国語で読みたいよね。楽だし。」となることがあるわけです。
いずれのパターンでも「今表示されている言語じゃない言語を選択したい」という気持ちになります。んで、自分に合った言語を選択しようとしたときに、選択肢がめちゃくちゃありすぎると「うわ、選ぶのメンドクサ」ってなります。面倒に思われても、分からなくはない言語に戻ってもらって、引き続き閲覧してくれならOKですが「メンドクサ」というストレスがそのままサイト離脱につながることも当然あります。なので「メンドクサ」を発生させないためにも対応言語は絞ったほうが良いです。
以上の3つの理由から「むやみやたらと言語対応するといろいろとデメリットがありますよ」というお話でした!
海外へ越境ECとして展開する場合の言語候補は?
ではインバウンドの訪日観光客ではなく越境EC展開で考えると言語はどうなるか?
まずは単純に世界でよく使われている言語を調べればOKです。それがこちら↓。
言語を使っている人リスト
- 英語: 14億5600万 (第1言語 3億8000万, 第2言語 10億7700万)
- 中国語: 11億3800万 (第1言語 9億3900万, 第2言語 1億9900万)
- ヒンディー語: 6億900万 (第1言語 3億4500万, 第2言語 2億6600万)
- スペイン語: 5億5900万 (第1言語 4億8500万, 第2言語 7400万)
- フランス語: 3億1000万 (第1言語 8100万, 第2言語 2億2900万)
- アラビア語: 2億7400万 (第2言語)
- ベンガル語: 2億7300万 (第1言語 2億3400万, 第2言語 3900万)
- ポルトガル語: 2億6400万 (第1言語 2億3600万, 第2言語 2700万)
- ロシア語: 2億5500万 (第1言語 1億4700万, 第2言語 1億800万)
- ウルドゥー語: 2億3200万 (第1言語 7100万, 第2言語 1億6100万)
- インドネシア語: 1億9900万 (第1言語 4400万, 第2言語 1億5500万)
- ドイツ語: 1億3300万 (第1言語 7500万, 第2言語 5800万)
- 日本語: 1億2300万 (第1言語)
- ナイジェリア・ピジン: 1億2100万 (第2言語)
- エジプト・アラビア語: 1億200万 (第1言語 7700万, 第2言語 2500万)
- マラーティー語: 9900万 (第1言語 8300万, 第2言語 1600万)
- テルグ語: 9600万 (第1言語 8300万, 第2言語 1300万)
- トルコ語: 9000万 (第1言語 8400万, 第2言語 600万)
- タミル語: 8700万 (第1言語 7900万, 第2言語 800万)
- 広東語: 8700万 (第1言語 8600万, 第2言語 100万)
このうち上位4位の言語(英語、中国語、ヒンディー語、スペイン語)をカバーした場合、それらの言語の話者は世界人口の約47.62%をカバーすることになります。4言語でやく半分の人に対応できる計算ですね。
上位10位の言語をカバーした場合、それらの言語の話者は世界人口の約67.97%をカバーすることになります。更に6言語増やしても約20%しか増加しない計算ですね。
まとめ
今回は対応言語に関しての解説をしました。Wikipediaに書かれている対応言語の分布をもとに「最適な言語をどのように絞るか?」を解説しました。
結局のところ商品を売る販売者さんが「どの国に向けて」とか「どういった人に向けて」など、設定しているターゲットに合わせて対応すべき言語が異なってくるかと思います。
今回の記事の内容を参考にご自身で「自分たちはどの言語に対応した方がより効率的か」「どこまでの国の言語に対応すべきか」などを考える参考になれば幸いです!