越境ECは国内ECとは異なる特有の課題があります。本記事では、越境ECを展開する際の重要なアプリケーションの選定と、注意すべきポイントについて詳しく解説します。
GDPR対応と個人情報保護
越境ECでは、個人情報保護が重要な課題となります。特に欧州で事業を行う場合、GDPR(一般データ保護規則)に適合したアプリケーションの導入が不可欠です。これらのアプリはインストールが比較的容易で、越境ECにおいては「鉄板」とも言える存在です。
請求書・納品書の管理
商品購入時に同梱する請求書や納品書の出力は、Ship&coをよく使います。例えば、DHLなどの運送業者との連携を通じて、海外発送のための伝票を簡単にプリントアウトできます。ただし、このアプリは重量課金制なので、料金体系を確認してからの導入が望ましいです。
多通貨対応
海外の顧客に対応するためには、多通貨アプリの導入が必要です。日本円から他の通貨(例えば米ドル)への変換ができなければ、顧客が購入を見送る可能性があります。ショピファイではデフォルトで対応可能ですが、設定が複雑であり、サードパーティのアプリを導入することが推奨されます。
多言語化の重要性
越境ECでは、多言語化も重要な要素です。日本語だけでなく、英語や中国語、またはターゲットとする特定国の言語もサポートすることが望ましい。多言語化アプリの導入は、幅広い顧客層へのアピールにつながります。
翻訳アプリの精度
多言語対応のための翻訳アプリの精度は非常に重要です。近年、チャットGPTなどの高精度な翻訳エンジンの登場により、商品数が少ない場合は手作業での翻訳が有効な場合もあります。しかし、一般的にはロングショップやランゲファイなどの翻訳アプリの利用が望ましいでしょう。
シッピングポリシーの明確化
出荷までに掛かる日数について
海外発送の際には、シッピングポリシーの詳細な記載が必要です。特に、出荷までの時間や配送日時指定の可否については、国によって異なるため、明確に記載することが重要です。海外では配送日時指定が難しいため、この機能は含めない方が良いでしょう。
コーディングで配送日時指定機能を実装している場合は、海外からのアクセスの場合に非表示となるように追加コーディングを実施してもらったほうが良いでしょう。
アプリで配送日時指定機能を実装している場合は、アプリベンダーに海外からのアクセスの場合に非表示にできるか直接確認をとりましょう。場合によって国内・海外で別々のストアを作らなければいけないという判断もありえます。
関税について
越境ECでは、商品の関税負担についての説明が必須です。DDP(Delivery Duty Paid)かDDU(Delivery Duty Unpaid)かによって、関税の負担者が異なります。関税に関する情報が不足していると、顧客の購入キャンセルや返品の原因となるため、シッピングポリシーに明記することが推奨されます。
そして商品を購入するタイミングで、目に入るところに注意書きとして記載しておくのもひとつの方法としてあります。例えば「カート追加ボタン付近」「カートページの決済ボタン付近」「決済ページ」いずれかの場所に分かりやすく入れておくと良いでしょう。わざわざシッピングポリシーを見に来ないユーザーもたくさんいますので。
まとめ
越境ECの成功のためには、適切なアプリケーションの選定と、多言語・多通貨対応、シッピングポリシーの明確化が必要です。これらのポイントを押さえることで、国際市場でのビジネス展開がスムーズに進むでしょう。また、関税や翻訳の精度にも注意を払い、顧客のニーズに応えることが重要です。